【作り手を訪ねました】fusenKazuraデザイナー 藤本玲湧さん

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「Caerula」は日本の美しい手仕事をお届けしたい、
というコンセプトから始まったオンラインショップです。

美しい手仕事、つまり「Caerula」の商品には
必ず作り手さんという存在があります。

作り手さんは、これまでどんなことをしてきて
いま、どんな思いでものづくりをしていて
これから何をしたいと思っているんだろう。

そんな気持ちで「Caerula」スタッフが
作り手さんにインタビューした内容をお届けします。

Caerulaで販売中の革製品を手がけていらっしゃる
fusenKazura デザイナー藤本玲湧さん。
シンプルな色から生まれる様々な形、
革の風合いと輝きが最大限に引き出された作品がその魅力です。

藤本さんの作る作品は強い存在感がありながら
フォルムはおどろくほどシンプル。
大小サイズの異なる円を組み合わせたアクセサリーや
いちばん使い勝手のよいサイズのトートバック、
fusenKazura定番のがま口財布はとても人気です。

以前、藤本さんに
作品を作る際に大切にしていることはなんですか、
とお聞きしたことがあります。

そのときの回答は
すでにそこにあるモノの美しさやカタチを活かすために
「どうすれば機能的に使ってもらえるか」
「どうやったら効率的かつ美しく仕上げられるか」
というようなことに思考を集中していると思う、とのこと。
そこに藤本さんの作り手としての姿勢や
人生哲学をかいま見たような気がしました。

持つ美しさを引き立てるために素材を吟味して選ぶこと、
使いやすさを追求して作り方を極めること
そのために必要な技術や知識、モノを見る目を養うことが大切。

そんな作り手としての信念をもった藤本さんへのインタビューです。
お聞きしたところ、理系高校の出身で、公務員としての勤務していた経歴もある藤本さん。
どんな経緯で現在のお仕事に進まれたのか、あらためてお話を伺いました。

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- 人生で最初に作ったものは、何だったか覚えていますか?

私が小学2年生の時、気に入っていたお人形のお洋服を。
けっこう大きいサイズのお人形だったんやけど。
紫色のワンピースだったのを覚えてます。

叔父が当時付き合っていた彼女を、何度か連れてきていたんですよ。
その彼女が遊びにくるたび、私に裁縫を教えてくれて。
小さいお財布とかポーチを、一緒に作りましたねえ。
その頃からすでに、実用的なものが多かったかも。

小学5年生くらいのときには、ミシンを使うことができてたから
大人用の型紙を使って、自分の洋服を見よう見まねで作っていましたね。
大人向けサイズを子供サイズにするには
どこをどうすればいいんやろー、とか考えながら。
自分で作った白いコートを着て遊びに行ってました。
 

- 趣味も思考も今と変わっていないような気がします

10代の頃は、学校から帰って家にいる時間は
ひたすらミシンに向かっていました。
毎週土曜日は徹夜してた。
なぜなら、作り始めたら完成するまで止めない子だったから。
次の日が学校が休みという日は、夜通しでミシンがけ。
家族はみんな寝てしまって静かななので、ちょっとは音に気を使いながら。
私の両親も「根気がええなあ」って呆れるほど。

学校の友達が持っていたリュックと
まったく同じのを内緒で作っていって、びっくりさせたことも。

高校生のとき、小学生からずっと使ってきたミシンが壊れてしまいました。
使いすぎたというか、使い倒したという感じで動かなくなってしまった。
すると父が、
家庭用ではなく、業務用のミシンを買ってくれると言いました。
どんなのがいいか聞かれたので
「丈夫なミシンが欲しい。余計な機能はいらないから」と答えました。
そのときに買ってもらったミシンは
今もここ(工房)にあって、まだ動くんですよ。丈夫って、いいわ。

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高校は、高専という5年生の学校に進学したんだけど
4年生のとき、自分の中でいよいよ物作りへの熱意が高まってしまって。
それで、高専を辞めて洋裁学校に行きたいと、両親にお願いしたんです。
卒業まで、残すところあと1年という時期だったし、
絶対に反対されると思っていたから、相当の勇気をふりしぼって。
すると両親は、すんなり「いいよ」と。
あまりにさらっと許してくれたので、私の方が逆にびっくりしたくらい。

さっそく母といっしょに洋裁の専門学校を訪ねて
入学したい旨を伝えたんですが、その専門学校の先生に
「高校を卒業してから来てください」と追い帰されてしまった。
それで、土曜日だけやっていた洋裁学校を見つけて
母とふたりで通ったんです、高校を卒業するまでの1年間。

- いつもご両親のあたたかい応援があったんですね

そうして高校は卒業できたんだけど
さて、これから将来どうしようかと。
ものづくりはどうしても続けたい。

じゃあ、公務員になろう!と思いました。
休日は自分の時間をとれる、というのが何よりの理由でした。

それから公務員試験のため、それはもう必死に勉強したら受かったんです。
高校は理系だったから、出題範囲の法律なんかちんぷんかんぷんだったんだけど。
試験の本番だけは、めっちゃ手応えがあって。奇跡が起きました(笑)

勤務している間に子供を2人授かったんですが
その産休の時間を使って、革細工の勉強に通いました。
型紙の引き方から始まって、革すきとか専用のミシンがけとか
学ぶべきことはたくさんある、そして時間は限られている。
なので、その授業時間にできる限りのことをするために
家でめちゃくちゃ段取りと準備をして、毎回を大切に臨んでました。
1分も無駄にしたくない気持ちでしたから。

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革の作品を作り始めて何年か経ったころから
お店に小物を置かせて欲しいと頼まれたり
知り合いづてにオーダーが来るようになったりしました。

そして2006年に退職、と同時に「くらふと風船葛」をオープンしました。
翌年からは島アートイベントへの出店、
カフェギャラリーに出品、展示会の開催などの活動を始めました。
それに、2年に1回は個展を開くことを課して
とにかく製作することを自分に仕向けてきました。
とにかく知ってもらうことが大事だと思って
地道に活動をしてきましたね。

子供も大きくなったので活動エリアを広げようと
おととしくらいからは都内での展示会やファッションフェアなど
県外でのイベントもこなすようになりましたし
地場産業の活性化という枠で
地元の作り手さんといっしょに活動したりすることもあります。

そういった一連の活動で知り合った方々からのアドバイスや
さまざまな形でのサポートをいただきながら
また新しいことを紹介してもらったり、取り組ませてもらったり。
基本的に私が全部やるから協力してください、と言いながら
自分でなんでもできるようになりたいっていうパターンが多いな。
 

- これから取り組んでいきたいことはありますか?

私にとって革の魅力は
とにかく長く使ってもらえるところ。
素材のいいところを活かしつつ
異素材を組み合わせることで、新しい表現やおもしろさが出てくる。
でも、革にこだわるというより
他の素材にも興味はあるし、いろいろやってみたい。

今はとことん手仕事でやる、細かい作業で作りこむ、
ということをやってみたいな。

手の込んだモノ、もう一生に一回しかできないわ、
そんな作品に挑戦してみたい。

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*2014年12月に取材
*写真撮影:林 直樹
*撮影場所:工房 風船葛


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fusenKazura/藤本玲湧さんについて
独学で始めた洋裁や革の作品が評判をよび、工房「くらふと風船葛」を設立、本格的に制作活動をスタート。 日常的に使えるアクセサリーを中心としたブランド『fusenKazura』を発表。
日本の伝統的な文化や技術に造詣が深く漆に革やスパンコールといった異素材を組み合わせるなど独自の表現を追求しています。個性的で華やかなデザインと、丁寧な仕立てに長年のファンも多い作家。
2006年 くらふと風船葛OPEN
2008年 japan expo in PARI出展
2012年 高松市美術館市民ギャラリー「革で創る面白い形」開催
 

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